USMラボ/テストフィールド
安価な再生可能炭素原料としてのアブラヤシ樹幹のポリヒドロキシアルカノエート生合成用細菌増殖培地としての利用
目的
- アブラヤシ樹液を主な炭素源としてP(3HB)およびP(3HB-co-3HHx)の合成を行う。
- 培養条件の最適化により、Cupriavidus necator NSDG-GG からP(3HB) および P(3HB-co-3HHx) の生産量を最大にすること。
正当な理由とプロジェクトの説明
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、生分解性ポリエステル熱可塑性プラスチックの一種で、窒素、リン、硫黄などの必須栄養素は制限されるが、過剰な炭素源の存在下で、様々な細菌や古細菌によって合成される。PHAは、1970年代から、汎用プラスチックと類似した特性を持つことから注目されてきました。しかし、生産コスト、特に基質コストが高いことが、PHA の経済性を阻害する大きな要因の一つとなっています。現在、大規模な生産には、高価な精製糖や植物油が主な炭素源として使用されています。一方、伐採されたアブラヤシ幹(OPT)は、幹全体の重量の約70%を占める糖分に富んだ樹液を多く含んでいます。マレーシアにおけるOPT樹液の生産量は、年間3,000万〜5,000万トン近くになると推定される。OPTから抽出された樹液は、糖、アミノ酸、有機酸、ミネラル、ビタミンなどを豊富に含んでおり、発酵プロセスのための豊富で安価な炭素源となる。そこで、本プロジェクトでは、OPT樹液をPHAの生合成のための主要な炭素源として開発することを目的としています。
社会への貢献(利益)
- OPT 樹液を PHA 生産に利用することで、伐採したアブラヤシに付加価値を与えることができる。
- また、OPT 樹液を利用して、バイオエタノールやバイオガスなど、他の有益な製品を生産すること も可能である。
- OPT樹液の利用により、アブラヤシ農園主が植え替えの際に追加収入を得られる可能性がある。