研究テーマ-3 (アウトプット-3)
パームプランテーションの再植林による持続可能な土地管理の開発
伐採したOPTなどのアブラヤシ残渣をプランテーション内に放置することによって生じる以下のような環境影響を評価する。
- アブラヤシの生育不良や枯死を引き起こす土壌病害虫の発生、および
- アブラヤシ残渣の分解に伴う温室効果ガスの発生
その上で、研究テーマ-1、2で開発したOPT利用技術の社会実装に向けた農場管理者(土壌病害虫)、国際的インセンティブ(気候変動)を形成することを目的とする。
研究内容
アブラヤシプランテーションでは、果実生産量の減少に伴い、25年ごとにアブラヤシを伐採し、再植林を行う。しかし、伐採されたOPTは、搬出する際の経済的負担などの理由からプランテーション内に放置され、地球環境問題を引き起こす可能性がある。
例えば、パーム由来の有機物が土壌微生物によって分解される際、一時的に大量のCO2が大気中に放出されるが、放出されたCO2は新たに植林されたパームが吸収するため、気候変動への影響はほぼニュートラルになる。

微生物群集機能評価に基づく、土地利用によるN2O生成ポテンシャルへの影響
しかし、シロアリが採食すると、腸内共生細菌によるセルロースの分解により、CO2の25倍の温室効果を持つCH4として大気中に放出される。また、土壌分解性害虫の蔓延によるヤシ類の生育不良は、過剰な施肥を引き起こし、CO2の約300倍の温室効果を持つN2Oの供給源となり得る。
したがって、土壌害虫を含むパーム由来有機物の分解者の特定とその動態評価、およびCH4やN2Oなどの温室効果ガス排出量の統合観測は、気候変動に寄与しない持続可能なアブラヤシプランテーション経営を実現するための重要な指標となる。