目的
オイルパーム幹(OPT)をバイオマス資源として利用する技術を開発・普及させることにより、プランテーション内のOPT放棄に起因する2つの地球環境問題を解決する。また、バイオマス利用技術に基づく新産業の創出と環境・経済的なインセンティブを生み出すことにより、実行可能な道筋を構築する。
研究テーマの構成

研究テーマ-1(アウトプット-1)および研究テーマ-2(アウトプット-2)で実施するOPT管理・利用技術は、マレーシア・ジョホール州のクルアンパイロットプラントで開発する予定である。
OPTの外層の合板利用については、マレーシア・パーム油公社(MPOB)やマレーシア森林研究所(FRIM)により、様々なボード加工技術が研究開発されている。しかし、実質的にOPTを利用した合板製造会社はマレーシアに1社しかありません。
また、OPTの特性樹液については、実験室レベルでの研究報告があるのみで、社会実装に向けた取り組みは本プロジェクトが初めてとなる。
研究テーマ 3(アウトプット-3)のアブラヤシプランテーション環境に関する研究は、学術的に非常に重要である。ここでは、植林中のアブラヤシプランテーションにおける霊芝、Fusarium(oxysporum)等の土壌菌、甲虫等の害虫の動態とそのプランテーションへの影響について研究を行う。
また、OPT や OPF のバイオマス分解により農場から発生する温室効果ガス(CO2,CH4,N2O) をマルチチャンネルチャンバーシステムによりモニタリングし、農場でのアブラヤシ残渣の放棄が気候変動に与える影響 を明らかにする。
研究テーマ-4(アウトプット-4)では、パームバイオマスを積極的にリサイクルするケースを想定し、当プロジェクト
のクアンパイロット工場で得られたプロセス、エネルギー消費、GHG排出などのプロセスデータを用いて、経済・社会・環境の各分野への影響を特定・定量化し、総合的に評価できる分析フレームワークを構築し、OPT高付加価値技術が社会実装された場合のパーム産業全体の環境・経済・社会の持続性を考察する。
これまで、パーム油製品の製造工程やEFB・PKSバイオマスの利用におけるLCAや環境負荷を算出した研究例はある。しかし、OPTやバイオマス製造プロセスを適用した場合のパーム産業全体を俯瞰した環境負荷や商業インパクトの体系的な解析は行われていない。
今後、このLCAモデルはパーム産業全体の持続可能性を診断するための指針になると考えられる。
研究テーマ



